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偏屈老人の思い出。 [本]

寒い、とにかく寒い今日この頃。
厳冬の時は、残念な訃報も多い。

年明け早々からやしきたかじんさんの訃報、
人生の8~9割方を関西で過ごす者としては本当に残念でした。
そして先日は波平さんの声優の永井一郎さんも・・・
個人的にはサザエさんはあまり見てないから
ガンダムやYAWARAの猪熊慈五郎の方がインパクト強いかなぁ・・・。

まぁ自分はごく平凡な庶民なので、
それは悲しくはあってもテレビ等で見知っている著名人の方なわけですが、
自分と多少なりともご縁のあった
数少ない著名人の方が今もお元気にされているのか、
不意に気になってググってみました。


当時その方は教鞭をとられていて、
自分はその講義を受けていました。

実は自分はその方の生徒、ではなかったんですけどね。
まぁいろいろあって受講することになったけれど、
その方は出席を全くとらないため、
本来講義を受けるべき生徒たちはほとんどサボり。
私とその方の二人だけ、という講義もしばしば。
それでも気にした風はなく、講義が始まりました。

講義自体は最初に話をしてそれから映像を見て、
終わってからまた話をする、な感じで、
最初の講義で観たのは・・・『雄呂血』だったか、
で『丹下左膳』や『幕末太陽傳』など邦画の旧作、
『戦艦ポチョムキン』や『大いなる幻影』など洋画の旧作、
小津安二郎作品が大好きとのことで、
『風の中の牝鶏』『長屋紳士録』『東京物語』・・・等も。
ただ、小津安二郎さん生前は上の世代への反発みたいなものもあって、
本人には素直に言えなかったようなことを聞いた気がします。
逆に黒澤明さんの作品は嫌いだったそうで、結構ぼろ糞に言ってました。
あとはその方が携わられた映画もいくつか観ました。
小津安二郎作品が好きだと言われているのに、
内容はもう真逆な、官能的というかそんな作品でした。

当時の自分は、今もまぁ社交的とは言い難いですが、
自分からしゃべるのが苦手で口数も少ない人間だったので、
よく講義として成立してたなぁ・・・と思います。
ただ、その方も自分の好きな(時には嫌いな)映画を見せて言いたいことを言う、
みたいな感じだったのでそれはそれでおもしろい時間で、
時には結構むちゃくちゃなことを言うけど、楽しいじーさんでした。

そして、最後の授業の時、
「君の考え方とは違うかもしれないけれど・・・」
と言い、ご自身の著書をサイン入りでいただきました。
それがその方と自分との関わりの最後で、もう10年以上前の話になります。

短い時間だったし、あまり大した言葉も交わしてないけれど、
きっとこんな機会でもなければ観ることはなかったかなぁ・・・
と思う作品に多く触れられたこと、
そしてそれまでの付き合いとは全然違う方から
いろいろな話を聞けたことは得難い時間だったなぁ・・・と思います。


・・・2年も前にお亡くなりになっていたことをwikiで知りました。
その時気づかなかったのは悔しいけれど、
自分も一番思い悩んでいた時期だったしなぁ・・・などとちょっと言い訳。

せめて、最後の著書を読もう、と思い探したら見つかったので購入しました。
それでも6年前の本ですが。

偏屈老人の銀幕茫々

偏屈老人の銀幕茫々

  • 作者: 石堂 淑朗
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本


「私の文筆の仕事は本書で終わりました」
と書かれたまえがきが寂しくも、ちょっとかっこいい。

で、内容は三つに分かれていて、
前半部分は体調崩されてから書かれた内容で、
交流のあった映画人との別れや自身の死期が近いことを感じたうえで、
雑誌に連載されていた回顧録ですかね。
中盤は1970年頃に雑誌で書かれその後埋もれていた、
ご自身の学生・松竹に入社された頃の話を描かれたもの、
後半は他者の小説等に解説文として寄稿された文章。

まえがきの通り、石堂淑郎さんの最後の著書、
ということが伝わる内容・・・
のはずですが、とりあえず股間だ一物だ、の話が多いこと(w
中盤の内容などは若いころに書かれたこともあってか、
呑む・買うな話をよりくわしく描かれています(^^;

そうは言っても東大を出て脚本家をされている方なので
額面通り受け止めてよいのかどうか・・・

まぁそういう部分に抵抗がなければ(^^;
昭和の映画とそれにかかわった人々に興味がある人は特に、
楽しめる面白い本だと思います。

そしてきっと今頃は、ご自身がまえがきに書かれた通り
冥界で今村昌平さんや実相寺昭雄さんと再会して、
猿の何とかの如くまた脚本を執筆されている・・・のか、
それとも元気を取り戻した昭和のナントカを暴れさせているのか(^^;;;


ちなみに、自分が頂いた本は、
日本人の敵は「日本人」だ』です。
DSC_0022.JPG
書かれたのは20年近く前になりますが、
政治や文化等広く語られていて、
今まさに問題となっているようなことも当時から語られていて、
今読んでも古さを感じないおもしろい本だと思います。


歳も歳だったし、何となくそんな気はしていたんだけど、
それでもやっぱり知ってしまうと、寂しいなぁ・・・
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ショッカー戦闘員

はじめまして。
プロフィールのラバーダックは、中之島ですか?
ちょっと気になったもので・・・
では。
by ショッカー戦闘員 (2014-02-15 17:04) 

dormouse

はじめまして。
はい、お察しの通り中之島で、
2009年に来たときに撮ったものです。
http://a-dormouse.blog.so-net.ne.jp/2009-09-13

なんか最近破裂しちゃったらしいですね…(^^;
by dormouse (2014-02-15 17:43) 

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